2019年10月11日金曜日

MinIONラン中のエラー(Error connecting to position)

MinIONをランしている途中でエラーが発生して、シークエンシングとベースコールが中断されていた。そこで一度MinKNOWを終了させ、Macを再起動したのちにデバイスが使えるかどうか復帰テストランをした。テストランは無事に終了したので、デバイス側の故障では無いようだった。記録のために以下に経緯をまとめる。

(1)エラー発生

  • ラン時間を48時間としてランをDNA-seqを開始した。数時間おきに様子を見たところ、ランは正常に進行しているようで、アクティブに読んでいるポアの様子を確認できた。30時間経過後に確認した時点までは正常にランしていた。
  • 次の日に研究室に行くと設定したラン終了まであと数時間残っているはずなのに、ランが止まっていた。アクティビティモニタで確認すると、プロセスとしてはguppyやMinKNOWがあるが、CPU稼働は0近くに落ちていたし、本当にランしていないようだった。
  • その時のMinKNOWの画面は以下の通りで、デバイスが認識されておらず、”Error connecting to position"のメッセージが出ていた。



ここからactive runの画面にいこうとしても、以下のメッセージ(Loading run data)が出ていつまでも変わらない状態だった。return to sequencer selectionのボタンを押して元に戻るしかなかった。


(2)状況確認とデータのバックアップ

  • いつ頃ランが不正終了したのかを推測するために、ライブラリ下のMinKNOWのディレクトリの中を覗くと、ベースコールが終わったファイルが4つほどあり、ベースコールを待っている.RAWのファイルがqueueのディレクトリの中にたくさんあった。その中の一番新しいものの生成は午前4時だった。ラン終了予定に6~7時間残しくらいでランは終わっていたようだ。ベースコールされたfastqファイルも同様に確認したら、同じくらいの時間で生成されていた上に、ファイルサイズが前のファイルと比べてだいぶ小さかった。同時刻にベースコールも不正終了したようだ。
  • 一緒にランを行なっていた他研究室の先生がnanopore communityの情報を調べたところ、MinKNOWのアプリケーションの更新を行なったあと再起動していないと問題が起こるケースがある、またはデバイスの側が壊れている可能性がある、との情報があるらしい。とりあえず、現在のraw dataやベースコールされたデータなどを全てバックアップしたのちに、アプリケーションを終了してmacを再起動してみることにした。

(3)MinKNOW終了、mac再起動、テストラン

  • データのバックアップが終わったので、デバイスのusbケーブルを引っこ抜き、MinKNOWを終了した。その後、通常の動作でmacを終了させた。
  • 再度電源を入れ、MinKNOWを起動させた。みる限り問題が無いよう。デバイスusbを接続すると、正常に認識された。
  • 試しに、そのままのflow cellの状態で再度1時間ほどの設定でランを行なってみることにした。前回の最後の方の電圧を入力し、ランを開始すると通常どうりランが始まった。ステータスを見ると、ポアの数はかなり減っているが、アクティブなポアもあり、すぐにリードのヒストグラムが現れた。
  • その後ランは1時間後に正常終了した。その後もベースコールは継続中。

(4)考察

  • 復帰後正常にランができていたため、デバイス自体の故障では無いらしい。flow cellも壊れていないようだ。
  • poreがかなり少なくなっていたがそれが原因というわけでも無いようだ。
  • 最初のランの前にMinKNOWのアップデート通知が来ていたので、ボタンを押したところ、不自然な形で一度アプリケーションが閉じてしまっていた。再度アプリケーションを立ち上げデバイスを抜き差ししたところ、普通に認識されていたのでランを始めていた。macの再起動はしていなかった。
  • MinKNOWのアップデートの時にosごと一度再起動していなかったのが問題なのかもしれない。なぜ40時間以上経過後に始めてバグったのかはよくわからないが。
  • 残っているraw dataは手動でベースコーラーを使う必要があるだろう。そうしたら、設定より数時間は短くなってしまったが、大部分のデータは使えるだろうと思われる。
  • 2日以上たっても、flow cellの中にはライゲーションされたgDNA サンプルが残っておりランも可能だった。