2019年4月26日金曜日

Leandro博士セミナー

先日、大学でフランスのCNRSのLeandro Quadrana博士のセミナーがあった。Leandroさんは植物のエピジェネティクスやトランスポゾンの研究で有名なVincent Colatのチームで研究していて、トランスポゾンのmobilomeなどですごい論文を書いている。発表している論文は数は少ないが、いわゆるトップジャーナルの論文が多くトランスポゾンの面白い研究ばかりだったりする。三島の遺伝研でセミナーをして、その後半分私用で京都に来たついでに、うちのボスに会いに来たらしい。最初ボスが不在だったため自分が出迎えたが、気さくでかなり話しやすい人だった。せっかくなのでということで、最近出した論文2本(NUPTsのDNAメチル化の話とBrassicaのインプリンティング)について話を聞いてもらった。どちらも割と興味を持ってもらいいろいろ話をした。インフォマティクスの手法など細かいことにも指摘をもらった。

セミナーは植物のトランスポゾンについてで、トランスポゾンの挿入によって起こる突然変異が、植物の適応的な変異にも強く関連しているという内容だった。TE accumulation lineを使ったデータ解析で、とにかくデータの量が多い。ヒストンバリアントと選択的なTE転移や、実際にそれが適応的変異につながっていそうなことが示されていたが、遺伝子の選択性が「適応に関与する遺伝子」に向いているのか、それらの遺伝子がopen chromatinになっているのかについては厳密に検討される必要があるだろう。でも、とにかくデータが多く面白い話だった。

セミナーの後は研究室でいろいろと話をしてから、だいぶ夕方になって帰った。京大の遺伝の部屋からも先生が来て、主にトランスポゾンについてずっと話をしていた。話していることがTEの話オンリーで難しく、ついていくのに苦労した。

研究の比重変化 ベンチからコンピュータへ

昼ごはんを食べながら雑談していた時に、研究環境の話だとか学生の就職の話だとかいろいろした。インフォマティクスの教育はどこも課題があり、苦労もあることがわかった。「今の学生はパソコンよりスマートフォンが好きなんだよ」と言ったら笑っていた。聞いていて面白かったのが、「昔は実験室のベンチが一人一つ与えられて、居室に共用コンピュータが一台という体制だったのが、今は一人に一台コンピュータで、実験ベンチが共用になってるよ」という趣旨の話だ。これは、自分の実感にもあっている。自分の学生の時の出身ラボはデータ解析の比重が高かったので、コンピュータも一人一台(以上)になっていたが、実験がメインの研究室の場合、ラボのPCを共用で使っているところもあった。もちろん分野にもよるが、今のオミクス系研究だと、コンピュータでデータを処理している時間がとても長いように感じるし、そこの部分の重要性が以前に比べてはるかに増している。バイオインフォマティクスやプログラミング等の技術に加えて、統計学の知識も重要だね、というような話を先生たちもしていた。生物系の学部でこれらを、従来からの遺伝学やゲノム科学的な講義と一緒にどういう風に教えていけば良いのかは、まだまだ課題が多いのではないかと思う。単純にコンピュータ科学系の人が教えればいいわけでもなく、生物系で需要が高い技術を教えたり、生物データに対応づけられて講義される方がいいみたいだ。数年前に出身校の先生と話していても、そういう風に学部向けの演習がシフトしていると聞いた。

データ解析のところが重要になっているのは間違いないが、データの取得元である生物を見る方の知見や実験も疎かにできない。どちらかに特化した専門的な人はこれまでもこれからも重要だが、そのほかの人でも自分の研究題材に合わせてどちらも分かるとか、インフォマティクスも必要なことは自分でできることが必要なのだと思う。生物がわかる人がちゃんと解析の技術を身につけていくこと、それを講義するノウハウを蓄積することが重要だと思う。

2019年4月25日木曜日

春の風景、桜の下でBrassicaの交配

二週間ほど前から、屋外で生育しているBrassica rapaのレシプロカル交配を始めている。良い陽気の中で花がどんどん咲いてきた。



満開の桜を背景に、黄色い菜の花の柱頭に花粉をつけていく。



2019年4月1日月曜日

2019年度 解析まわりでやりたいこと

解析まわりで、今年度やりたいこと、導入したいシステムなどを列挙しておきたい。

1. Dockerの導入

カラのlinux機かmacを準備してとりあえず使ってみたい。再現性の面でも、解析環境をまとめておくことができる方が望ましいだろう。

2. Windows OS の習熟

解析はほとんどmacOSとLinux OSで行なっているので、あまり必要性があるわけではないが、ある程度使える方が便利そうだ。また、他の人に何かを伝えるときも、大抵の場合相手はwindowsを使用しているので、分かっている方が会話がしやすい。

3. Jupyter Notebookなどを使った、プロトコル整備

自分が後から見返して分かりやすいようにということもあるが、学部生に見せて、自分でいじらせるためのプロトコルが必要だと感じる。

4. Rapsberry Piを使ったデバイス作り

植物写真や温湿度などをログする簡易記録機を安価に作れるのならば、いろいろな場所に設置しておきたい。水やりも半自動化できれば、ブレが少なくなりそうだ。そんなにシビアな植物生理の実験をしていないので、お金をつぎ込んでまでやる必要性はないが、簡易な設備を自分で作れるのなら便利そう。

5. Linux解析機のパワーアップ

現在96Gb RAM, 12Tb HDDのWSにもう少し付け足す。CentOS6で動かしているが、解析している論文が出た時点でOSをupgradeしたい。ssd化も検討したい。

6. バイオインフォマティクスのアルゴリズム、線形代数、統計の学習と、それらをプログラミングにつなげること

これまでにもっと勉強しておけばよかったと切実に思う。